本ページの目的は、企業や株式の分析に用いられる指標のうち、利益率に関する指標について解説することである。
売上高総利益率は、売上総利益を売上高で割った比率である。
売上高総利益率は、粗利率、粗利益率とも呼ばれる。
売上高総利益率 = 売上総利益 売上高
売上総利益は売上高と売上原価の差であるため、上の式は下の式に変形できる。
売上高総利益率 = 1 - 売上原価 売上高
この式の右辺第2項は、売上高に占める売上原価の比率であり、その比率が小さいほど売上高総利益率は高くなる。
つまり、売上高総利益率は、その企業の商品・製品・サービスの付加価値、あるいは仕入・製造効率を表している。
売上高総利益率は業種によって水準が異なるため、同業での企業の比較に用いられることが多い。
同業の中で売上高総利益率が高いということは、企業がその業界で価格競争力を確保していることを示している。
一方で、売上高総利益率が低くても、売上高が大きければ、同程度の売上総利益を上げることはできる。
そのような場合、その企業はマーケット・シェアでは優位に立っているともいえる。
しかし、大抵の場合、利益が同じなのであれば、利益率が高い方が株主や社員などのステークホルダーにとって望ましい。
もちろん、売上高も売上総利益率も伸びていることが理想的である。
売上高総利益率の計算に必要な売上高と売上総利益は、損益計算書に記載されている。
ここでは、以下の損益計算書を用いて、売上高総利益率の計算の例を示す。
売上高 2,500 売上原価 1,500 売上総利益 1,000 ・・・ 純利益 ・・・ |
売上高総利益率は、売上高に占める売上総利益の割合であり、以下のように計算できる。
損益計算書に記載される金額には単位があるが、比率なので気にする必要はない。
よって、上の損益計算書の例では、売上高総利益率は0.4、百分率では40%となる。
営業利益率 = 営業利益 売上高
営業利益率は、下式のように分解できる。
営業利益率 = 売上総利益 売上高 × 営業利益 売上総利益
売上総利益を売上高で割った比率は、売上高総利益率であり、製造業であれば生産効率、小売業であれば仕入効率を反映している。
営業利益を売上総利益で割った比率は、管理や営業など、生産以外の効率を表している。
すなわち、営業利益率の高さは生産あるいは仕入の効率や、営業の効率が高いことを意味している。
営業利益率が高いことは、企業が一定の売上を上げるためのコストが全体として小さいことを表している。
そのため、営業利益率は企業の競争力を表すシンプルな指標となる。
営業利益率の計算に必要な売上高と営業利益は、損益計算書に記載されている。
ここでは、以下の損益計算書を用いて、営業利益率の計算の例を示す。
売上高 2,500 ・・・ 営業利益 250 ・・・ 純利益 ・・・ |
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合であり、以下のように計算できる。
損益計算書に記載される金額には単位があるが、比率なので気にする必要はない。
よって、上の損益計算書の例では、営業利益率は0.1、百分率では10%となる。